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副住職のはなし

寺役で学んでいること

副住職のはなし

寺役とかいて・じやく・と読みます。お寺での様々な仕事を総称して寺役と言っています。

寺役で一番多いのが月行(つきぎょう)です。亡くなった方の命日に合わせて毎月ご自宅まで伺ってお経を読ませてもらいます。

 

うちのお寺ですとお経を読み終わると、大体お茶を檀家さんが入れてくれ世間話などをします。私はお話を聞くのが好きなのでつい長居してしまいます。みなさん色々な事をお話されます。

先月行ってきた旅行の話から、ご近所での事、家族の事、ご自身が不安に思っている事、嬉しかったこと、などなど。

そして私も自分の事をお話します。皆様と同じように嬉しいことや悩んでいる事を人生経験豊富なお母さん・お父さん方に聞いていただいています。

 

そして月行を通じて人の温かさを感じます。家に入れてもらってお茶を貰ってお話をする。何気ないような事かもしれませんが新潟に来た時にとてもビックリしたことを覚えています。

私は神奈川県の横浜出身ですが私の人生経験では人の家に入れてもらってお茶を出してもらうなんてことはありませんでした。

競争社会の中で生きた来たものですから他人とは当たり障りのない話くらいはしても、お茶飲んで色々な人生の事をお互いに話し合うなんてことはありません。ましてやお互いの悩みを相手を信用して話すなんて。

 

最近忙しさを言い訳にしてあまり仏教の勉強をしていないのですが、先日檀家さんとの話の中で 『大事な事ほど忘れるんだよ』 と言われてハッとしたのです。

大事な事は決して忘れないと思っているものですが、実は私たちは大事な事ほど忘れるのかもしれません。

 

そして大事な事を改めて思い起こし掘り返していく中でお寺の仕事をしようと思った契機が、

人の温かさを感じた事がとても大きな出来事として自分は感じるものですから記しました。

人と出会い・暖かさを感じ自分が生きてきた足跡を振り返るとき様々な感情が沸き起こってきます。